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2018.04.02

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ラクスルの収支構造を公告から推定してみる

弊社でも利用している印刷通販のラクスル。印刷がオンラインで手軽にできて便利ですよね。

そんなラクスルの決算公告から主な経営指標を推測してみようと思います。数字から、感覚値として儲かってそうかどうかを足元の黒字赤字を超えて把握できれば良いなと思います。

印刷業界もデザイン業界のすぐお隣の業界なので、どんな構造か分析することに意義はありそうです。

実績の整理

まずは基本の財務指標の確認から。

財務指標 億円
売上高  50.5
売上原価 41.5
売上総利益 9.0
販管費 23.4
営業利益 △14.3
営業外収益 0.2
営業外損失 △0.2
経常利益 △14.3
総資産 35.4
流動資産 25.0
固定資産 10.4
負債 14.0
純資産 21.4

流動資産が多いですね。20億円前後現金が眠っている状態なのではないでしょうか?

続いて比率の指標も出してみます。

項目
粗利率 17.8
販管費率 46.3
営業利益率 △28.3
経常利益率 △28.3
純資産比率 39.5

売上50億円は立派ですね。なお、ライバル?のプリントパックの売上は238億円のようです。

粗利率は20%未満と低めの水準になっています。印刷ネットワーク型のビジネスモデルであることから、粗利率は低くならざるを得ないのでしょう。

推測

続いて推測値を色々考えてみようと思います。

項目  数値
従業員数 180名(求人サイトより推定)
一人当たり粗利 500万円
一人当たり販管費 1,300万円
一人当たり固定資産 578万円
減価償却費(推定:10年償却) 1.0億円
利用者数 25万人(LPより)
利用者当たり売上 2.02万円/年

一人当たりの粗利額が500万円ということで、なかなかにしんどい水準です。要は一人500万円払ったら粗利がなくなるということなので、通常の給与を払うだけで赤字になる水準です。成長途中ゆえに半数程度の人材を将来への投資に向けていると仮定すれば、実質一人当たり粗利は1,000万円くらいになって、ビジネスとして十分回る水準とも考えられそうです。

一人当たり販管費は、1,300万円。仮に人件費平均が600万円/年・人とした場合、残り700万円分は広告宣伝費などのマーケティング投資になりそうです。

あとは地味ですが、印刷機械を買ったりしているようなので、固定資産の1/10が減価償却費になっていると仮定してみます。

上記を元に総額に改めて割り戻して収支構造を事業実態部分と投資部分とに分割して考え直してみます。

ポイントは

  • 人件費の総額は10.4億円と推定(=600万円×180人)
  • 人件費の半分は投資分扱い
事業実態部分収支(推定)
粗利額 9.0億円
人件費(必須:推定) △5.2億円
減価償却費 △1.0億円
事業利益 2.8億円
売上高事業利益率 5.54%
投資部分
人件費 △5.2億円
その他販管費(推定) △11.6億円
小計 △17.0億円

過大経費部分を可能な限り切り出した事業利益率で5.15%という水準は大企業の平均営業利益率の水準を少し上回る程度の水準です。

まとめ

ここまでの数字いじりは雑なものですが、先行投資分を除いた実力値を可能な限りで推測しようとしたものです。一連の操作で何となくですが「ラクスルはまあまあ成立しないこともない」という数字を出す構造(ビジネスモデル)であると言えそうです。

事業収支の推計値は甘めの推計値ではあるのでもう少し利益率を上げたい感じもしますが、印刷という辛めの業界でやっていると考えれば上手くやっている方なのでしょう。

個人的にはここからの打ち手として、利益率を上げていくために事業構造の転換を狙う(厚みを増す)のか、売上の総額を増やす面的な展開を狙う(幅を増す)のかが気になるところです。実際はその組み合わせになると思いますが、次回のラクスルの分析では定性的な施策をまとめて、「厚み v.s. 幅」どちらを強調した動きをしているのかを見てみたいと思います。

あと半年くらいしたら2017年度の決算が出る感じでしょうか。どんな数字になるか楽しみですね。

【おまけ】
計算時スプレッドシート

※資料
従業員数:https://cotobe.net/companies/3806
利用者数:https://raksul.com/pr/cm/
平均営業利益率:http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syokozi/result-2/h2c6klaj.html

投稿者:松木友範

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